あれだけ信じていたのに。
「まさか」が現実になって、思考が止まりました。
はじめて誰かに話した夜

その夜、兄とLINEでやり取りをしていました。
これまでずっと一人で進めてきたネットショップのことを、初めて家族に話しました。
信頼していた相手と始めたこと、売上が思っていた以上に出ていたこと、
正直どこかで「すごいでしょ」と思われたかったのかもしれません。
でも、兄の反応は予想とは違っていました。
「それ、危なくないか? どんな仕組みなんだ?」
怪しさを指摘され、胸がざわつく

そのひと言に、心が一瞬だけザワつきました。
でも僕は、「大丈夫だよ、ちゃんと売れてるし」とだけ返しました。
その時は、本当にそう思っていました。
それでも、兄から「サイトのリンクを見せて」と言われ、
なんとなく違和感を覚えながらも送信しました。
数分後、返ってきたメッセージは短くて、重たいものでした。
「これ、詐欺じゃないか? 送金先、全部個人名だし、運営元もよくわからない」
検索の海で見つけた“自分と同じ被害者”

その言葉を読んだ瞬間、心臓がドクンと鳴りました。
頭が真っ白になったのに、胸の奥では「やっぱりそうだったのか」と思っている自分がいました。
そこからは止まらないほど検索を始めました。
「ネットショップ 詐欺」「副業サイト 注意点」
いろんなキーワードを組み合わせて、片っ端から読み漁りました。
出てくる出てくる。
僕と似たような体験をした人たちの書き込みが、山ほどありました。
- 最初は売上が出て安心させる
- 次第に仕入れ額が増え、「追加振込が必要」と言われる
- 相手はやたらと親切で、距離を詰めてくる
- でも振込先は毎回違う個人名
- そして、最終的に売上は反映されず連絡が取れなくなる
悩み続けた夜、下した決断

目の前が真っ暗になりました。
信じていたものが崩れていく感覚。
そして、信じていた自分に対する嫌悪感。
なぜもっと早く気づけなかったのか。
なぜあの時、少しでも疑おうとしなかったのか。
後悔が頭の中を支配しました。
眠れませんでした。
横になっても、何も考えないことができませんでした。
不安、怒り、後悔、恥ずかしさ。
いろんな感情が入り混じって、体の力が抜けていくような感覚がありました。
悩んでいました。けれど、もう戻れないのはわかっていました。
僕が最初に決めた3つの行動

朝が来るのが怖く感じましたが、
「何かしなければ、もっとひどいことになる」という危機感だけははっきりしていました。
明け方になり、僕は行動を始める決意をしました。
- 日本大使館に連絡する
- 警察に相談する
- 銀行にも連絡し、振込先口座の調査を依頼する
返金されるかどうかなんて、正直わかりませんでした。
でも、何もせずに終わらせるわけにはいきませんでした。
今やれることをひとつずつやって、それでダメだったとしても、
少なくとも自分を責めないで済むようにしたかったのです。
次回【第3話】では、大使館、警察、銀行への連絡と対応について、
実際にどんな反応があったのか、何ができて何ができなかったのかを詳しくお話しします。