詐欺対策

【第3話】大使館、警察、銀行。できる限りの行動をした日

「何もしないまま終わりたくない」
その気持ちだけで、僕は動き出しました。


大使館への電話が、最初の一歩だった

眠れないまま朝を迎えた僕は、日本大使館に電話をかけました。
何をどこまで話せばいいのかも分からず、とにかく「詐欺に遭ったかもしれない」「今まさにお金を送ってしまった」とだけ伝えました。

対応してくれた職員の方はとても丁寧で、落ち着いた口調で最後まで話を聞いてくれました。
同じような被害相談が近年非常に増えているとのことでした。
そして、日本に住所がある場合はその管轄の警察署に、住所がない場合は警視庁に電話するようにと案内を受けました。

この時点で、ようやく「これは本当に詐欺だったのかもしれない」と、現実を受け入れ始めていたように思います。


日本の警察に電話した日

大使館からの案内を受けて、僕はすぐに日本の警察にも電話をかけました。
住所が日本国内にあることを伝えたところ、住民票のある地域の警察署に連絡するよう案内され、
最終的には該当する警察署へつながりました。

通話の中では、被害内容ややり取りの詳細、振込先の情報、使用していたウェブサイトなどについて、できるかぎり正確に伝えました。

ただ、やはり警察としてできる対応には限界がありました。
「証拠資料として保全しておくこと」「これ以上被害が広がらないようにすること」
そういった助言はもらえたものの、すぐに何かが動くという話ではありませんでした。


タイの警察には行かなかった理由

大使館からは、現地(タイ)の警察にも届け出を出すように言われました。
ですが、僕は結局タイの警察には行きませんでした。

その時点で既に銀行にも連絡を取り、「ほとんどのお金は戻ってこないだろう」と知ったあとだったからです。
気持ちとしては、**「今さら行ってもどうにもならない」**という諦めがあったのだと思います。

それでも、自分としてはできる限りの行動はしたと思いたかったし、
その判断もまた、当時のリアルな心境でした。


銀行とのやり取りと現実

僕が送金していた振込先は複数ありましたが、幸いほとんどが同じ銀行の口座でした。
しかも、僕自身もその銀行に口座を持っていたため、スムーズに対応してもらうことができました。

その銀行に電話で事情を説明し、振込明細や送金日、相手の名義などを伝えました。
担当の方はとても親切に対応してくれて、詐欺の可能性が高いことを踏まえて、口座の凍結や調査の可能性について話してくれました。

ただ、その中で言われたことは現実的でした。

「被害届が出ていても、すでに資金が移動していた場合、返金は難しいです」
「返金できるかどうかの判断は半年ほど後になる見込みですが、相手口座にほとんど残高がないため、返ってきたとしてもごくわずかになる可能性があります」

この言葉を聞いて、心のどこかで「やはりもう戻ってこないのか」と覚悟が固まりました。


動いたことで、ほんの少し前を向けた

こうして、大使館、日本の警察、銀行と、僕ができる限りの場所に相談をしました。
それによってお金が戻ってきたわけでもなく、詐欺の相手が特定されたわけでもありません。

でも、「何もしなかった後悔」だけはしなくて済んだ。
この行動を取れたことが、自分にとっては次のステップへ進むための区切りになった気がします。

何もせずに諦めることは簡単でした。
でも、それでは自分を許せなかったと思います。


第4話では、この体験を書き始めた理由、
ブログを通じて少しずつ整い始めた生活と心の変化について書いていきます。

  • この記事を書いた人

sholifeblog

■海外生活7年目 ■ファッション・美容関係の仕事 ■7年目にして詐欺に遭い大金失う ■50代から副業チャレンジ ●40代で初海外出向し、フィリピンやタイなど東南アジアで生活してきました。 ●人生これからなので色々チャレンジしていきます。 ●海外生活や詐欺体験、副業に関連したことを書いていきます。

-詐欺対策